「あなたには悪いことをしましたね、
僕は最初からあなたと結婚する気はおろか付き合う気もなかったのですよ。
見合い話は母が勝手に進めたことですし、めんどくさがらずにちゃんと僕から断りの連絡を入れておくべきでした」
悪びれもせず、そんなことを言った。
彼は一体何人の女の人を泣かせてきたのだろう。手慣れた、いや、口に馴染んでいて言い慣れていた。
そのあとは、楓さんと別れて私は教室に戻って点灯のタイミングまで待つのだった。
常木さんは、妖守は体のいい見回り要因であるのだと言って校舎内に残った。
泣いていた楓さんの姿が心を抉った。
そんな彼女にも常木さんは「では、失礼します」と置き去りにする。



