「そういえば、常木さんって何歳なの?」
常木さんとはクラスメイトといる時と違って沈黙が私を急かすことがなかったが、
せっかくなので思ったことを訊いてみることにした。
「20です、もうすぐ21になりますね」
もっと上かと思っていた。
数年しか変わらないはずなのに私と常木さんは子供と大人みたいにすごい違いがある気がする。
落ち着いた話し方だからかな、大人びて見える。
「あなたは何年生なのですか?」
「その聞き方だと、小学生にいくつか聞いてるみたい」
私は笑った。
「小野枝 久美、高校2年生です」
「小野枝さんね」
常木さんは狐面を弄びながら、復唱した。
「小野枝さんなんて言わずに、久美でいいよ。
常木さんの方が年上なのになんか変だもん。私はタメ口で喋っちゃってるけど」
久美ちゃんはそのままでいいですよ、と言ってくれる常木さんはとても穏やかだ。



