妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~





 ただいまの時刻、11時。
物音ひとつしない和室にたった一人で布団の上に座り込む私。



だだっ広い和室が余計に寂しく感じる。



 えーっと、寝なくちゃ。
さっきの怪談話なんか気にするまでもなく、気にしたら負けだ。



そう、あの話は聞かなかったことにするべきで、もう眠りにつくべきで……。




 ガタン、ヒタッ、ヒタッ……。


 廊下からだった。



「うそ〜〜ん。まじで〜」




 自分から発声した情けない声は誰に届く事もなく、
常木さんが駆けつけてくれる事もなく空間にこだまして溶けた。




 廊下から聞こえる濡れた足音は部屋の前を通過し、ビクビクと膝を抱えて怯えている間に通り過ぎ去っていった。