「完璧だろう」
慎二さんが寂しそうに口を開いた。
「あいつは、いつからかなんでも完璧にこなすようになってたな。一人っ子だったのもあってプレッシャーだったのかなあ」
慎二さんは最後のページをめくるとパタンとアルバムを閉じた。
「私がそう育ててしまったのか愛想と立居振る舞いだけは一丁前に良い。
しかし、なにせこいつには愛着とか愛情に欠けてしまってるように思えてならんかった。そうは思わんか」
慎二さんはあぐらに肘をついて艶やかな目で私を見た。
その目が常木さんに似ていてドキッとする。
「確かに彼はそういうところがあるかもしれません。……でも、ちゃんと優しさを使い分けられる人だと思います。
私がいうのもなんですけど、ちゃんと甘やかしていただいてますよ」
と、えへへと笑った。



