午後8時半。パーティーは盛況のうちに終わった。
来賓のほとんどが女性だということもあっておもいきりオシャレができるこのようなパーティーを企画したのだけれど、「友人の結婚式などもひと通り終わってしまったので、ドレスを着る機会が得られて嬉しい」「パーティーなんか滅多に出られないから、体験できて楽しかった」などと、嬉しい言葉をたくさん頂けた。
ネイルシールを導入することについて、サロン側の率直な意見やアイデアなどももらえたし、とても有意義だった。
パーティーは大成功と言って差し支えないだろう。
「みなさん、本日はお疲れさまでした。素晴らしいパーティーになりました。SK企画のみなさん、イベント会社の方々、そしてホテルのスタッフのみなさん、本当にありがとうございました」
森川社長の挨拶に、みんなで拍手を送る。
私もこの手のパーティーを何度か経験したことがあるけれど、今日ほど満足度の高いものは初めてだった。
さて、これから打ち上げでも、という話が出始めた時、この部屋のスタッフが出入りする方の扉が開いた。
扉は静かに開いたのだけれど、私たちがいるところからとても近いため、視線はそちらに集まる。
入ってきたのは仕立てのいい紺色のスーツを着た若い青年だ。花束を抱えており、高貴なオーラを放っている。
「みなさま、本日は当ホテルのご利用、誠にありがとうございます。マネージャーの御園でございます」
「司!」
彼の登場に驚いて、私はつい名前を呼んでしまった。
「知り合いか?」
山中部長の小声の問いに、「ええ、まあ」と答える。咄嗟に下の名前で呼んでしまったので、少なくとも友人以上の関係であることは悟られているだろう。
司は一瞬だけ私に怪しい笑みを見せ、まっすぐに森川社長の方へ歩を進めた。
「森川印刷のみなさま。この度は新事業の立ち上げ、おめでとうございます。ささやかではございますが、当ホテルよりお祝いを贈らせてください」
やけに爽やかな笑顔でそう告げ、ブルー系でまとめられた花束を彼女へ手渡す。



