今日は午後6時より、森川印刷のスリステスタッフと我々SK企画のチーム共同で、3step Nailsの立ち上げ記念パーティーを開催する。
 契約を結んでくれたネイルサロンの代表者やネイル関係のプレスの人たちを来賓として、たっぷりもてなす予定だ。
 パーティーの進行はSK企画お抱えのイベント業者にお任せしている。
 会場は赤坂にある高級ホテル、シャトー・ジャルダンのバンケットルーム。
 なにを隠そうシャトー・ジャルダンとは、私の退職後に見合いをさせられる予定の幼馴染みこと御園司の会社、御園グループが経営しているホテルだ。
 御曹司である司は現在関東地方のエリアマネージャーとして、ホテル経営のいろはを学んでいるところだという。
 御園(みその)(つかさ)御曹司(おんぞうし)
 字面が似すぎてギャグみたい。
 くだらないことを考えて吹き出すと、そばに来ていたまりこが首をかしげた。
「どうしたんですかぁ?」
「ちょっと思い出し笑い」
「えー、なにを思い出したんです?」
「それは秘密だよー」
 午後3時すぎ。私たちは業務を切り上げてパーティーの準備を始めている。
 まずは着替えだ。ホテルのパーティーにふさわしいドレスをまとい、いつもより多くジュエリーを着けて、目立ちすぎない程度に髪をセット。
 初めてパーティードレスを着るというまりこは、楽しそうに鏡に映った自分を見ている。紺色のレースとシフォンのドレスはよく似合っているし、初々しくてかわいらしい。パールのヘアアクセもマッチしている。
 対して私は、まりこがこのようなドレスをチョイスすることを見越し、パンツタイプのパーティースーツにした。
 色は黒なのだけれど、トップスにフリルやレースがあしらわれており、デコルテや腕の部分が透けているので暗く見えない、お気に入りのセットアップ。
 少し高価なものなのだが、母の会社の商品であるため、ファミリー価格でゲットしたのは内緒だ。