「琴江、ちょっといい?」


ホームルームが終わって先生が教室から出た瞬間、後ろから泉が声をかけてきた。


「え、いいけど、どうかしたの?」


「うん。でもちょっと教室では……」


泉は周囲を気にして言った。


あたしは頷き、席を立つ。


2人で廊下に出て一番隅へと移動した。


「一体なにがあったの?」


泉はずっと深刻そうな表情をしているので、あたしまで緊張してしまっていた。


きっとなにか重大なことが起こったのだろう。


「これ見て」


そう言って見せられたのはスマホ画面だった。


その画面には暗い色のページが表示されている。


「なに?」


「ちゃんと読んで。口では説明できないから」


そう言って泉はグイグイとスマホを押し付けてくる。


あたしはスマホを手に取り、表示されている内容を確認した。