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少しずつ、自分の周りの景色が変化しているような気がした。


泉や勇人と一緒に話をしているときに、声を出して笑うことが多くなった。


それはいい変化だったけれど、気がかりな変化も同時に訪れていた。


「今日も松本くん、怪我してたね」


朝のホームルームが終わった時のこと、泉が心配そうな声で言った。


「そうだね」


あたしは頷く。


ここ数日間、松本くんは色々な場所に絆創膏やガーゼを張って来るようになった。


きっと前日の放課後に誰かにやられたんだと思う。


けれど松本くんはそれについて先生から聞かれても、階段で転んだとか、自転車でえこけたと言い続けているそうだ。


「こんなに毎日怪我するわけないのにね。でもまぁ、仕方ないのかな」


泉の言葉にあたしは瞬きをした。


「仕方ないって、どういう意味?」


「知らない? 松本くん、前の学校でも同じくらいイジメられてたんだって」


「え?」


「たぶんそれが転校の理由なんだと思う。だけどね、松本くん全然抵抗しなかったんだって」


「どうして!?」


思わず声が大きくなってしまい、周囲を見回した。


「わかんない」


泉は左右に首を振る。


あたしはこの目で松本くんの強さを見ている。