「優里おはよう〜」


羨ましいことに窓際の席に座っている友達が、マフラーで乱れた私の髪を直してくれる。


私の席は廊下側だから寒いったらこの上ないのだ。


「今日も鼻真っ赤にして。本当寒さに弱いよね」


「あ、千咲!今日の数学のテストって範囲どこだっけ」


横から声をかけてきたのは、いつも髪を一つ結びにしている千咲。


優里と千咲は高校からの友達で、私たちは大抵3人でつるんでいる。


テスト当日にそんなことを聞く私に、2人は呆れた顔をした。


「もう〜、私のノート見せてあげるから。どうせ昨日もバイトだったんでしょ」


「えへへ、ありがと」


千咲は成績優秀で、本人は隠しているけれど私の読みではクラストップは彼女だ。


妹がいる優里もとても面倒見が良くて、2人がいなかったら私はきっとやっていけていない。