余りの静かさに自分の咀嚼音がダイレクトに聞こえてきて、無駄に慎重に味のしないケーキを飲み込んだ。
チラッと一瞬盗み見た彼は、真っ直ぐケーキを見ていて何を考えているか分からない。
食べ進める手を止めたらそれこそ気まづくなる気がして、結局一言も話さずに3分の2ほど無くなった頃。
ベッドの横に置かれていた私の鞄の中から、スマホの着信音が聞こえた。
身体を伸ばして鞄を引き寄せ、スマホを取り出す。さっきの着信音は母からのメッセージの通知だった。
『バイト、まだ終わらないの?』
現在時刻22時前。バイトは21時までだったからいつもならとっくに家に着いている時間だ。



