赤とアビス


脈絡のない話に反射的に口をついて出た私の返しに、彼はベッドの横にあるテーブルを見た。


そこには箱の中でグチャグチャに崩れた、ケーキが。それは私が店長から貰ったものだった。


夜道で腰を抜かしたときに落としてしまったからああなったのだ。


「それ、崩れちゃったから。新しいの買ってきた」


そう言う彼の手にはコンビニ袋。まさか食べられなくなったケーキに責任を感じて?


落としたのは私で、彼がケーキの箱を入れてあった袋を使ったのだって、私の過呼吸を治す為にだったのに。