赤とアビス


それでいてどこか儚くて…、とにかく惹き込まれる。


この目に見つめられたら息も出来ない程に、魅了されている私がいた。


「…ケーキ食べる?」


そんな陶酔的な感情に、意識を何処か頭の片隅に置いてしまった私の頭に彼の言葉が届くまでたっぷり3秒。


「…は?」


いや、届いたとて意味は伝わってこなかった。


あれ?私、何の話をしていたんだっけ。


見ず知らずの人間を自分の家まで運んで、寝かせてくれたこの人に謝罪と感謝を伝えたところだったよね。


それとも彼の目に惹き込まれているうちに、無意識に変なことを口走った?


いや、だとしてもケーキって、何?