私には周りのことを気にする余裕なんて無く、男が作る影が私を覆ったことも気付かない程だったけど、


ふとした瞬間から、苦しさが薄れたような気がする。何だか呼吸がしやすくなってる…?


それは頭にかかっていた靄が晴れるような感覚だった。


耳の近くでガサガサとした音が聞こえる。


あ、ケーキの袋…。


彼はケーキを入れていた袋を私の口に当て、過呼吸の処置をしてくれていた。


至近距離に彼の顔が見える。


ありがとうとお礼を言いたいのに、口が動く前に私は強烈な眠気に襲われて、意識を手放した。