まずい、お母さんのめんどくさいモード発動だ。こうなったら私が折れるまで譲らないんだから。


「分かった気を付けるから。それよりお母さん、仕事行く時間だよ」


「あらやだ!じゃあ行ってくるね、戸締りよろしく」


時計を見てバタバタと家を出ていった母にヒラヒラと手を振る。


心配してくれているんだろうけど、もう私だって高校生なのに。


「それじゃあ今日も元気に行ってらっしゃい」


テレビ番組のパーソナリティが締めの言葉を発したのを聞いて、私は慌てて残りのトーストを口に詰め込む。


呑気にしている場合じゃない、私も学校に行かなくちゃ。


今日は1時間目に数学の小テストがあるから早めに登校するつもりだったのに。結局いつも通りの時間になってしまった。