赤とアビス


そもそも彼らと足のリーチが違うから、私がいくら早歩きしてもそれが彼らの普通の速さで。


3人の男たちに右も左も後ろまでピッタリと囲まれてしまって、逃げようが無い。


「ねえねえ立木ちゃん何処に向かってるの?」


そんなの私が聞きたいくらいだ。とにかく前に進んではいるけど、どんどん雰囲気の悪い辺りに近付いてしまっている。


お母さんが言っていた、暴行事件があったのってこの辺りじゃなかったか。


ああ、どうしたらいいんだ。どうすればこの状況を打開出来る。


「俺ら良い店知ってんだ。行こ行こ〜」


ついに腕を掴まれて無理矢理に、より人気の無い方へと歩かされる。


「離してっ」