何だか面倒なお客さんに当たったかも…と接客に行くのを躊躇ったが、生憎他の店員は皆んな忙しそうに動いている。
仕方なく私は笑顔の鉄仮面を纏って、彼らのテーブルに向かった。
「ご注文はお決まりですか?」
「うん、これねー」
これ、とだけ言われてメニュー表を指さしたそれをハンディーに打ち込む。
「お姉さんクリスマスなのにバイトしてるってことは、彼氏いないの?」
馴れ馴れしく話しかけてくる彼らに、私の笑顔が一瞬ピクつく。
テーブルを見るとかなりグラスを空けていて、だいぶお酒を飲んでいることが分かる。
ここは居酒屋じゃないっての。と、心の中では悪態をつきながら勿論それを顔には出さないけど。



