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「秋穂さん」


冬の冷たい風が吹くベランダ。窓越しにかけられた声に、私はゆっくりと振り返った。



指先が冷たい。コンクリートが冷たい。そういえば、箱の中で眠るきみの肌も同じくらい冷たかった。



「冬人のこと、貴方が殺したんですか」



抑揚のない声だった。なんの感情も込められていないような、責めているわけでも私を尊重するわけでもない、そんな声色で、彼女は言った。



貴方が殺したんですか、
そうです、私が殺しました。




「……冬人に殺してって言われました」



きみが望むなら、私はその願いを叶えたい。
優しくない世界では、それは、罪に値する。


きみは死んだ。私が殺した。

2日前のことだった。星が綺麗で、澄んだ空気がきみに良く似合っているなぁと、ぼんやり思った記憶がある。



「こんなに綺麗な顔なのに傷つけてごめんね」
「いいんだよ冬人」

「秋穂の大事なもの、たくさん壊してごめんね」
「冬人がいれば、もう何もいらないの」

「俺なんかが、生きててごめんね、」
「いい、いいの、……ねえ、もう謝らないで」



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