かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました



こんなに柔らかい雰囲気で、まっすぐな笑顔で、そんなことを言われても、すぐには受け入れられないけれど……本人がこう言っている以上〝嘘だ〟と食い下がるわけにもいかず、追究したい思いを仕方なくのみこむ。

「それに、本当に大事な子がいるなら、それ以外の子に優しくするのは違うとも思うしね。俺は好きな子にしか純粋に優しくはできないかな。極端っていえばそうなのかもしれない」

目を伏せた微笑みから落とされた言葉に、興味がくすぐられる。
行内でナンバーワンの人気を誇る桐島さんには、まさか好きなひとがいるんだろうか。

聞いたら失礼かな? 
行内の人間から恋愛関係の話題を振られたらセクハラだと捉えられる可能性はある。
私だって職場の男性に恋愛の話題を振られるのは少し嫌だ。

いやでも、今までの様子なら少し不躾な質問も許される……?

グルグルと考えながらも興味が勝とうとしたとき、桐島さんが目を合わせ笑った。

「そんなだから、俺だったら誰が困っていても適当に切り捨てるけど、相沢さんは最後まで面倒見るから偉いなって思ってたんだ。自分の危険を顧みない部分だとか優しすぎるところだとかは少し心配でもあったけどね」

突然の言葉に、瞬きを繰り返してから首を傾げた。