かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました



「必要以上に仲良くなっても後々面倒だし、女性は結構細かいことで騒ぐところがあるから」
「細かいこと……ですか?」
「資料室に荷物を運ぶのを代わったとか、席を譲ったとか傘を貸したとか」
「ああ、なるほど」

たったそれだけのことでも、〝特別扱いされた!〟と思う女性は少なくなさそうだ、と納得する。

だからって、〝私のこと好きなのかも!〟までいくのは飛躍しすぎだと思うけれど、そういった女性がいないとも言い切れない。

「こんなふうに言うのは失礼かもしれないけど、そんな小さなことで誤解されても面倒だから、全員同じように接してる。だから、貼り付けたような笑顔になっていたのかもしれない」

「女子ってまとまると面倒ですもんね」と独り言みたいなトーンで返すと、桐島さんはおかしそうに笑った。

「もしかして相沢さん、身を持って体験してる?」
「ごちゃごちゃ言われて嫌な思いをした経験のない女子なんて、世界中探してもいないと思いますよ」

社会人になってからは減ったものの、学生時代なんてそんなのばかりだった。また、私が色々言われやすい見た目や性格をしていたから、というせいもあるのかもしれないけれど。

「つまり、相沢さんも経験したってことか」