没落人生から脱出します!


 エリシュカだったらどうだろう。近くにいるのならば父親には会ってみたいと思うかもしれない。家族というのは不思議なもので、近くにいたら鬱陶しいし、嫌な部分が気になりがちだが、離れていたら理想ばかりが高まるものだ。

「リーディエさん。フレディ君を見て、ショックだったんでしょうか」
「そりゃそうじゃない? かたや捨てられた娘と、病弱だかなんだか知らないけど、箱入りに育てられたお坊ちゃんだよ? 知らなければ気にもならないけど、目の前に現れられたら、つい自分と比べてしまうものでしょう。リーディエが不貞腐れたって仕方ないんじゃない?」

 ヴィクトルが苦々しく笑う。エリシュカはなんと言ったらいいかわからくなった。

「私……どうしたらいいでしょう?」

 フレディは友達が欲しくてウズウズしているようだった。しかも年齢がどうでも物怖じしない。体術の先生の家にまで押し掛けるなんて、なかなかできることじゃない。
 〝エリク〟が平民だなんて事実は、彼には関係ないのだろう。彼は単純に友達が欲しいのだ。そのために、今後もまた、エリクに会いに来るに違いない。

「今の私が彼と友人になれるわけじゃないし、来訪をお断りしましょうか」

 エリシュカが言うと、ヴィクトルが首を振る。

「どうやって? 客として来られた以上、俺たちは迎えることしかできないんだ」
「それはそうですけど」
「エリシュカ。俺たちとお客様は対等じゃないんだ。ある程度の理不尽は飲み込む必要がある」