それから一時間ほどヴィクトルと根を詰めて話したリーディエは、落ち着いた様子で戻ってきた。エリシュカは心配だったが、彼女はすっかり立ち直ったかのように仕事の采配もいつもどおりで、むしろリーディエに気をとられているエリシュカの方がミスを連発していた。
が、やはり無理をしていたのか。終業間際になり、リーディエはふらりと倒れてしまったのだ。
慌てて彼女を休ませようと、エリシュカの部屋にリーディエを運ぶことになり、ヴィクトルとふたりでバタバタ物音を立てていたら、作業場で仕事中のリアンが不機嫌そうに出てきた。
「今度はどうした。なにがあったか説明しろ」
「オッケー、オッケー。ちょっと待っててね」
ヴィクトルはエリシュカのベッドにリーディエを寝かせると、エリシュカとリアンを引き連れ、閉店後の店内へとやってきた。
そして語られたのは、リーディエの身の上話だ。
「つまりね、たぶんあのフレディって子はリーディエの異母弟なわけ」
それは、エリシュカには衝撃的な話だった。父親が貴族、だが名前も顔も分からず、養育費だけを渡されて生きてきたという事実。
エリシュカも父親には思うところがあるが、リーディエの方が当たり所もない分、燻ぶる気持ちも分かる。
「この街に住む貴族は、三人いる。アーチボルト伯爵とケイヒル子爵、そしてバンクス男爵だな」
「叔父様は違うんですか?」
「セナフル家は商家なんだ。ブレイク様自身は貴族階級の出身だけれど、結婚によってその肩書はほぼ失われているね」
ヴィクトルが丁寧に説明してくれる。
「まあその三家のどれかがリーディエの親だろうとは思っていたけれど、母親はなにひとつ教えてくれなかったそうだし、低所得層の俺たちが、貴族と会うタイミングなんてほとんどない。魔道具を買うときだって、普通は使用人が来るからね。接点もなければ、気にもならないでしょう。だから、今まで、リーディエも父親を捜そうとはしてなかった」
「そうなのですか」
が、やはり無理をしていたのか。終業間際になり、リーディエはふらりと倒れてしまったのだ。
慌てて彼女を休ませようと、エリシュカの部屋にリーディエを運ぶことになり、ヴィクトルとふたりでバタバタ物音を立てていたら、作業場で仕事中のリアンが不機嫌そうに出てきた。
「今度はどうした。なにがあったか説明しろ」
「オッケー、オッケー。ちょっと待っててね」
ヴィクトルはエリシュカのベッドにリーディエを寝かせると、エリシュカとリアンを引き連れ、閉店後の店内へとやってきた。
そして語られたのは、リーディエの身の上話だ。
「つまりね、たぶんあのフレディって子はリーディエの異母弟なわけ」
それは、エリシュカには衝撃的な話だった。父親が貴族、だが名前も顔も分からず、養育費だけを渡されて生きてきたという事実。
エリシュカも父親には思うところがあるが、リーディエの方が当たり所もない分、燻ぶる気持ちも分かる。
「この街に住む貴族は、三人いる。アーチボルト伯爵とケイヒル子爵、そしてバンクス男爵だな」
「叔父様は違うんですか?」
「セナフル家は商家なんだ。ブレイク様自身は貴族階級の出身だけれど、結婚によってその肩書はほぼ失われているね」
ヴィクトルが丁寧に説明してくれる。
「まあその三家のどれかがリーディエの親だろうとは思っていたけれど、母親はなにひとつ教えてくれなかったそうだし、低所得層の俺たちが、貴族と会うタイミングなんてほとんどない。魔道具を買うときだって、普通は使用人が来るからね。接点もなければ、気にもならないでしょう。だから、今まで、リーディエも父親を捜そうとはしてなかった」
「そうなのですか」



