没落人生から脱出します!

 彼は仕事に戻ろうと顔をあげ、入口付近でいまだ立ち尽くしているリーディエに気づいた。

「ちょっと、なんて顔してんだよ、リーディエ」

 リーディエの顔色は青白かった。ヴィクトルに肩を揺さぶられてようやく我に返ったようで、そのまま椅子に腰を落とすと、呆然とつぶやいた。

「ヴィクトルさん」
「顔色悪いぞ? 具合でも悪いのか?」
「いいえ。あの、……今の子……私と似ていましたよね」

 ひどく言いづらそうにリーディエがつぶやく。エリシュカは、「そう……ですね」と頷いたが、「そうかな」とヴィクトルは否定的だ。

「だって目の色……珍しいのよ、この色は。だから私……」
「君は君だよ、リーディエ。親なんて関係ない、前にも言ったろ」

 ヴィクトルはリーディエの肩を抱き、エリクを振り仰いだ。

「ちょっと休ませてくる。今リアンを呼んでくるから、ふたりで店番頼むね」
「あ……はい」
「ほら、リーディエ、しっかりしな」

 ヴィクトルがリーディエを奥の事務室へと連れていく。
 しばらくすると代わりにリアンがやってきて、無言のまま微妙な表情を見せた。

「なにがあった?」
「それが……」

 説明しようとしたが、そのタイミングで新しい客が来たため、エリシュカたちは対応に専念することになった。