没落人生から脱出します!

「ねぇねぇエリク、これは何?」

 フレディは無邪気に笑いながら、ピーラーやミキサーを差し示す。エリクはいろいろなものに興味を示し、どんなことができるのか、屈託なく質問をしてくる。エリシュカは説明をしながらも、リーディエの様子が気になっていた。

「ふうん。なるほど。魔道具って面白いなぁ。それに、意外と僕らの生活に密着してるんだね。僕の家にもあったのかな。病気でね、ずっと自分の部屋にばかり閉じこもっていたから、何も知らないんだよ。外って楽しいよね。見るものすべてが珍しくて、楽しくって仕方がないよ」
「坊ちゃま。そろそろ」

 満面の笑顔を見せるフレディに、護衛が耳打ちする。

「もう? ……残念だなぁ。また来るよ。エリク!」

 その後はわがままを言うわけでもなく、フレディは帰って行った。とはいえ、まるで嵐のようだったなとエリシュカは思う。

「なんだ、あの貴族のお坊ちゃん」

 ヴィクトルは彼らを見送った後、あきれたように言う。

「この間、モーズレイ氏の屋敷で会ったんです。ずっと闘病生活を送っていたそうで、元気になって動けるのがうれしいみたいですね。同年代の友達がいなかったそうで、僕……今この姿ですから、同い年くらいの男の子ってことで目をつけられちゃったみたいで」
「なるほどぉ? それはお気の毒」

 ヴィクトルがあっさりと言った。貴族のお坊ちゃまのお遊びに付き合わされるなんて、という意味だろう。