没落人生から脱出します!

 そんな感じで午前の仕事を終えると、午後からはリアンに呼ばれた。

「エリク、ちょっと意見を聞かせてくれ」

 行っておいで、とヴィクトルに促され、エリシュカは事務室に入る。
 普段は作業場でやっているそうだが、今日はここに道具を持ち込んで商品開発をしているようだ。

「今やっているのは、携帯コンロの改良なんだ」

 田舎の方では、料理は薪を使い、かまどで作られる。エリシュカの住んでいた伯爵邸ではそうだった。
 魔道具としてのコンロが普及してきたのはここ数年のことで、薪がいらず煙も立ちにくいことから、住宅の密集する都心部で需要が大きいらしい。
 リアンが作っているのはさらに小さめの、ニホンでいうカセットコンロのようなものだ。
 魔力を通す魔法管と呼ばれる金属管がなく、持ち運ぶことができる。
 ちなみに、この店のキッチンで使っているのは、携帯コンロの試作品だ。

「料理をしていて使いにくいと思ったことはないですけど、どこを改良するんですか?」
「魔力の調節が難しいんだ。今は三段階に分けれるようにしているが、魔力をこめすぎると暴発する。大人なら問題ないが、魔力調節が下手な子供が使うには危ない」
「魔力調節……ですか」

 例えば魔力がガスのようなものだと考えれば、それは弁で調節できるはずだ。魔力を遮断できるようなものがあれば、弁を作ることもできるだろう。