没落人生から脱出します!

「各地の商業ギルドに持っていったら折りたたみ椅子も売れたよー。経営者を集めての会議なんかが多いからね。これがあればわざわざ会場を借りなくても、ギルド内に集めて座らせることができるからって。結局、モノを売るって技術力も大事だけど、リサーチが大事なんだ。そのあたり、リアンは下手だからね。僕の担当ってわけ」
「適材適所というやつですね」
「そういうこと。だからエリシュカもここにいるのがいいと思うよ」

 さらりと言ったブレイクの言葉に、エリシュカはきょとんとする。

「ここが最適かはわからないけれど、キンスキー伯爵家は君の居場所ではなかったと思う」
「……叔父様」
「娘に借金返済させるような親なんて、君の方から捨ててやって正解だよってこと」

 それは家出をした自分を肯定してくれる言葉で、笑おうとしたエリシュカは、頬を伝う自分の涙に、自分で驚いた。

「あれ、ごめんなさい、叔父様。私……」
「いいよ。……頑張ったね、エリシュカ」

(そうか、私。今まで泣くことさえ我慢していたのか)

 それは、実家にいては気づけない気持ちだった。戦っているとき、人は泣く余裕さえ無くす。受け止めてくれる安心感があればこそ、心を解放することができるのだ。