没落人生から脱出します!

 おじいさんに頭を下げ、エリシュカは歩き出した。もう外は薄暗い。言われた店が閉まった閉まっては大変だ。エリシュカは足を急がせた。

「……あれかしら」

 教えてもらった路地に出ると、やたらと目に付く一軒の店があった。周りの店は壁で覆われているのに、その店はガラスをふんだんに使っていて、中の明かりが道路までも照らしていた。木製の看板には、青と白の電飾のようなものが付いていて、光が明滅している。薄暗がりの中で、その光は幻想的で、とても目立っていた。

(イルミネーション?)

 エリシュカのが夢に見るニホンは、魔力が無い世界だ。代わりのように便利な道具があふれていた。
 野菜の皮をむくピーラーや空気にさらすだけで熱を発するカイロ。空気の層で断熱する真空タンブラー。小物だけじゃない。ボタンを押すだけで、食べ物を温めるレンジや、ごみを吸い込む掃除機など、大きな機械もたくさんあった。

(まるでニホンのお店みたい。ガラス戸で、電飾の看板があって……)

 電気を動力とするニホンの道具とは根本的に違うから、構造は違うだろうけれど、エリシュカは妙な懐かしさを感じてしまう。
 エリシュカはお店に近づき、ガラス越しにのぞき込んだ。そして、そこに置かれている商品を見て驚く。

「これ、ニホンの……!」

 店頭に置かれていたのは、台所で使う便利グッズだった。ピーラーやスライサー、更に、魔力を使って自動で粉砕できるミキサーなどが、棚に置かれ、すぐ傍に使い方が描かれたボードが置かれている。
『面倒な下ごしらえが一瞬で?』などという煽り文句もついていた。