没落人生から脱出します!


「表を上げよ」
「はっ」

 凛とした声につられるように顔を上げた。初等学校に飾ってあった肖像画よりも、少しだけ老けて見える国王の姿に、エリシュカは圧倒された。
 白いひげがライオンのたてがみのようにあり、眉も目もキリリとして威厳が感じられる。

「陛下、お呼びに従い、参りました。ブレイク・セナフルです。こっちは私の妻レオナ。そしてこのふたりは、『森の息吹』開発における重要な協力者です」
「レイトン商会のリアン・オーバートンと申します」
「エリシュカ・キンスキーと申します」

 出した声は震えてしまっていた。それでも何とか挨拶はできたとほっとする。後は、ブレイクが国王と話しているのを、黙って聞いていればいいだけだ。

「ブレイク・セナフル。貴殿のこの度の功績をたたえ、男爵位を与える」
「はっ。ありがたき幸せにございます」
「ブレイクを支えた貴殿たちにも、国の長として御礼申し上げる。高魔力水は、多くの人間を救う発明だ」

(国王様にまで、こんなふうに言ってもらえるなんて)

 エリシュカは頭を下げながら、感動していた。
 子供のころから、妄想家だと言われ、母の愛情を手にすることができなかった。それでも、エリシュカの道具を面白いと思ってくれたブレイクやリアンみたいな人がいて、実際にそれを作ってくれた。
 どんな言葉も馬鹿にせず、実現に向けて動いてくれたふたりには、どれだけ感謝してもしたりない。彼らが、エリシュカをここまで連れてきてくれたのだ。

「さて、そなたらの商売は、キンスキー伯爵家から得た土地で行っているのだったな」