没落人生から脱出します!

「はあ……」

 葉が影を作り日差しも遮られ、気持ちがいい。頬を撫でる涼しい風に誘われるように、エリシュカはお昼寝をしてしまった。

(なんだろう。温かい)

 夢うつつのエリシュカは体の表面に湯たんぽのような温かさを感じ取った。
 大樹に抱かれているせいだろうか。だがその熱はやがて、体中を巡回していく。

(まるで生命力を注がれているみたい)

 そう言えば、昔から木登りをすると元気になれた。木々の傍にいると、不思議と力がみなぎったものだ。
 木は光合成をしているから酸素を生み出す。生態系を維持するのに重要な光合成生物だ。
 それはこの世界では解明されていない事実だが、前世の記憶のあるエリシュカにとっては常識の範囲の知識だ。

(酸素──生きていくのに必要なエネルギーを生み出すもの。……そう言えば、魔力ってどこから生まれるのかしら)

 人は魔力を体内で生成するという。だけど、人だけが魔力を作れるのだとしたら、説明のつかないことがひとつある。

(魔石はどうやってできたの?)

 長い年月をかけて、地中に溶け込んだ魔力が凝固したのが魔石だ。では、地中に溶け込んだ魔力の元はどこにある?

(大気に溶け込んでいた魔力が、地中に染みこんだとしたらどう?)

 元々大気に魔力が存在しているという可能性もある。だけど、大気も循環する。魔力を生み出すもとが無ければ、いつか枯れてしまうのではないだろうか。
 木は魔力を通しにくいとリアンは言っていた。だから、魔力とは無関係のものだと思い込んでいたけれど、光合成で、酸素と共に生み出されているとしたらどうだろう。

(可能性はあるかもしれない。光合成と同じように、植物が排出しているとすれば、植物に触れていると元気になることにも理由が付くかも……)