「バルウィーン男爵はいい方ですよ。彼が求めているのは、伯爵家の娘を娶るという事実だけじゃありません。姉上の絵姿をとても気に入ったそうです。亡くなった奥方に似ているそうですよ」
やたらに男爵を押してくるのはマクシムだ。
「私は、奥様の面影を重ねられているということ? それっていい人がすることなのかしら」
「姉上、突っかかった言い方は止めた方がいい。相手先からは喜ばれませんよ。姉上は愛されて幸せになるために、夫となる男爵を立て、彼らの息子さんたちともうまくやらなくてはいけないんですよ」
(愛されるために、努力しろということ? それって、自分を曲げてまでしなきゃいけないことかしら?)
疑問は留まるところを知らずに沸きあがる。
「俺たち、明日には学園に戻るけど、もう逃げるなよ、姉上」
ラドミールが騒がしく言い、エリシュカは答える気力もなく黙っていた。
昔から不思議なのだが、双子はエリシュカに対して、過保護なくらいに構ってくるのだ。
(嫌われてはいないのでしょうけど)
エリシュカはいつも彼らの傍にいるのが居心地悪い。
(私の気持ちも、考えも、全部押しつぶされるというか……)
それは父親に対しても思う。エリシュカは彼らの所有物だとは思われているが、ひとりの人間として、尊厳を守られることが無いのだ。
やたらに男爵を押してくるのはマクシムだ。
「私は、奥様の面影を重ねられているということ? それっていい人がすることなのかしら」
「姉上、突っかかった言い方は止めた方がいい。相手先からは喜ばれませんよ。姉上は愛されて幸せになるために、夫となる男爵を立て、彼らの息子さんたちともうまくやらなくてはいけないんですよ」
(愛されるために、努力しろということ? それって、自分を曲げてまでしなきゃいけないことかしら?)
疑問は留まるところを知らずに沸きあがる。
「俺たち、明日には学園に戻るけど、もう逃げるなよ、姉上」
ラドミールが騒がしく言い、エリシュカは答える気力もなく黙っていた。
昔から不思議なのだが、双子はエリシュカに対して、過保護なくらいに構ってくるのだ。
(嫌われてはいないのでしょうけど)
エリシュカはいつも彼らの傍にいるのが居心地悪い。
(私の気持ちも、考えも、全部押しつぶされるというか……)
それは父親に対しても思う。エリシュカは彼らの所有物だとは思われているが、ひとりの人間として、尊厳を守られることが無いのだ。



