没落人生から脱出します!

「私、リアンさんに嫌われていたんでしょうか」

 悲しくなってポソリというと、ヴィクトルはあきれたように頭を抱える。

「それ、本気で言ってる? 今までのエリシュカへの態度を見てそう言ってるんなら、エリシュカ、人間関係を勉強し直したほうがいいんじゃない?」
「今まで……」

 突然一緒に暮らすことになって困っただろうに、細々と世話を焼いて面倒見てくれた。
 あれはかつて仕えていた時の癖なのかと思ったけれど、そうじゃない。リアンが優しいからだ。

「リアンさんは優しいから、行き場のない私を仕方なく預かったんじゃ……」
「他の人間にはあんなに面倒見がよくないよ」
「嫌なら面倒なんて見ないと思うわよ」

 ふたりがかりで矢継ぎ早に否定され、エリシュカは戸惑いを隠せない。
 リアンに嫌われたくない。彼らの言うことが本当ならどんなにうれしいだろう。だけど、信じる根拠がないのもまた事実だ。

「私」
「エリク」

 そこに、リアンが不機嫌そうな表情のまま入ってきた。

「ブレイク様と話がついた。お前は今日から、セナフル家に行くんだ。この件が落ち着くまで、悪いが外出も禁止だ」
「え?」

 戸惑っているうちに、腕を掴んで奥に連れていかれる。

「坊ちゃん方は、〝エリシュカ〟がここにいることに気づいている。こうなった以上、ブレイク様の屋敷で、奥の部屋にこもっているほうが安全だ」
「でも」
「キンスキー伯爵に見つかったら、俺でもブレイク様でも君を守り切れない!」

 予想外に激しい口調に、エリシュカはびくつく。