* * *
「リアンさんとうちの双子が険悪だったのが、気になるんです」
エリシュカは、七歳のときに池に落ちたショックで、それ以前の記憶がない。だから、リアンがキンスキー伯爵邸に勤めていた使用人の子供だというのも、本人から聞かされて知ったくらいだ。
「追い出されたって……言ってましたけれど。それはどうしてなんでしょう」
エリシュカは不安な気持ちを隠せないまま、すがるようにふたりを見上げる。
ふたりは気まずそうに目配せし、「俺たちの知っていることは少ないけど」と前置きしてヴィクトルが話し始めた。
「リアンは、池に落ちた令嬢──これは多分君のことだと思うけど──を助けたんだ。だけど、伯爵家の奥方に、お前のせいで娘は池に落ちたと言われて、家族ともども追い出されたんだって。それからは、伯爵が裏で手をまわしたのか、どこの屋敷でも雇ってもらえなくて大変だったみたいだよ」
「ちょっと、ヴィクトルさん」
「こんなの、誤魔化したってしょうがないだろ。エリシュカが知りたいんなら教えるべきだ」
「店長は隠したがっていたじゃない」
リーディエとヴィクトルが言い合いを始める。どうやら、ふたりとも、エリシュカが〝リアンが伯爵家を追い出されるきっかけとなった令嬢〟だということは知っていたようだ。
「私のせい……だったんですか」
ここにきてはじめてリアンと話したときの、彼の驚きの表情を思い出す。今から考えれば、ムッとしていたような気もする。あれは、自分を陥れたエリシュカが、のんきにやってきたことへのいら立ちだったのだとしたら……。
「リアンさんとうちの双子が険悪だったのが、気になるんです」
エリシュカは、七歳のときに池に落ちたショックで、それ以前の記憶がない。だから、リアンがキンスキー伯爵邸に勤めていた使用人の子供だというのも、本人から聞かされて知ったくらいだ。
「追い出されたって……言ってましたけれど。それはどうしてなんでしょう」
エリシュカは不安な気持ちを隠せないまま、すがるようにふたりを見上げる。
ふたりは気まずそうに目配せし、「俺たちの知っていることは少ないけど」と前置きしてヴィクトルが話し始めた。
「リアンは、池に落ちた令嬢──これは多分君のことだと思うけど──を助けたんだ。だけど、伯爵家の奥方に、お前のせいで娘は池に落ちたと言われて、家族ともども追い出されたんだって。それからは、伯爵が裏で手をまわしたのか、どこの屋敷でも雇ってもらえなくて大変だったみたいだよ」
「ちょっと、ヴィクトルさん」
「こんなの、誤魔化したってしょうがないだろ。エリシュカが知りたいんなら教えるべきだ」
「店長は隠したがっていたじゃない」
リーディエとヴィクトルが言い合いを始める。どうやら、ふたりとも、エリシュカが〝リアンが伯爵家を追い出されるきっかけとなった令嬢〟だということは知っていたようだ。
「私のせい……だったんですか」
ここにきてはじめてリアンと話したときの、彼の驚きの表情を思い出す。今から考えれば、ムッとしていたような気もする。あれは、自分を陥れたエリシュカが、のんきにやってきたことへのいら立ちだったのだとしたら……。



