「なんだ?」
光は、扇状に広がって、家族の肖像を映し出した。身なりはややみすぼらしいが、仲の良さそうな夫婦に、五人の子供たちだ。鮮明な画像が出たのは一瞬で、すぐに歪んで輪郭がぼやけていく。端の方から溶けるように消えていくのを、ヴィクトルは茫然と見つめた。
「その魔石、魔道具だったんですね」
エリシュカはポソリとつぶやく。これはおそらく、映像を保存する魔道具だ。魔力を吹き込むことによって起動し、映像を映す。【魔女の箒】でも扱ってはいるが、ブローチ型だったり、ペンダント型だったりと、装飾品としての見た目を重視していた。これはぱっと見ただの使い終わった魔石にしか見えないので、そうだとは思わなかったのだろう。
「……兄貴」
ぼそりと言ったヴィクトルの声は潤んでいた。エリシュカは見てはいけないものを見てしまった気がして、なにも聞いていないふりをする。
しばし固まっていたヴィクトルは、気を取り直したように目尻を拭うと、その魔石を胸ポケットへ入れた。
そして、エリシュカに背中を向けてしゃがむ。
「はい」
「え?」
「乗りなよ。おぶってあげる」
エリシュカはびっくりした。
「え、でも」
「いいから。見つけてくれたお礼だよ」
エリシュカは遠慮し続けたが、立ち上がったら体がふらついたため、それ見たことかと言われてしまう。結局、素直におぶってもらうことにした。



