没落人生から脱出します!


 名案だと思ったが、ヴィクトルは呆れたように眉根を寄せた。

「何考えてるんだよ、エリシュカ。いくら君の魔力が多いとはいえ、漠然と流したら倒れるに決まっている。駄目だよ」
「限度くらいはわかりますよ。それに、倒れてもヴィクトルさん、助けてくださるでしょう?」
「そりゃ……って、エリシュカ」

 返事を聞く前に、エリシュカは地面に向かって魔力を放出した。できるだけ薄く、広がるようなイメージを持つ。すると、食堂【柿の木】の入り口の花壇から、引っ張られるような感覚があった。

「こっちになにかありそうです」
「店のランプじゃないのか?」
「地面に向けて流しているので、そんな上までは届かないです」
「……エリシュカ、本当に器用だねぇ」

 意識を、引っ張られる方に集中していく。大分魔力を使ってしまったので、体をそちらの方向に向けるだけでも少しふらついた。

「このあたりです」
「分かった。もう魔力止めていいよ。エリシュカが倒れてしまう」
「はい」

 一緒に探すほどの体力は無くなってしまったので、エリシュカは地面に座り込んで、ヴィクトルが花壇の中を捜しているのを見ていた。
 すると、花壇からぱっと光が浮かび上がった。