没落人生から脱出します!

 それから一時間ほど、ふたりは地面に膝をつけながら、魔石を捜した。
 普段、その魔石は、鎖のネックレスに通しているらしい。今日の作業は工具も持って歩いたため、いつの間にか引っかけて鎖が切れてしまったのだという。
 石畳の隙間、草の陰をくまなく探す。が、見つからなかった。

「ないですね」
「もう誰かにとられたかな」

 ヴィクトルは、店を早退してから店側から順に、捜してきたらしい。今は食堂【柿の木】の入り口だ。一通り見終わってしまったことになる。

「ここまでか」

 ヴィクトルは諦めたように、ため息をつく。

「悪かったね、エリシュカ。もういいよ。帰ろう」

 だが、エリシュカは諦めきれない。だって、あの飄々としたヴィクトルがこんなに真剣に、何時間も探し続けたのだ。余程大事なものに決まっている。

(なんか、いい手はないかな。探し物を捜す……。夢の中の世界でなら、携帯電話とか、音を鳴らして捜したりもできたよね。そうだよ。魔石だったら)

「……魔石だということは、魔力を吸い込むこともできますよね」
「うん? まあ、そうかな。やったことはないけど」
「でしたら、ここら一帯に魔力を流してみましょうか。引っ張られる感覚があれば、そこにあるはずです」