「何をしているんですか? こんなところで」
「なんでもない」
「なんでもないわけ無いでしょう! 今どんな顔をしているか分かっているんですか?」
珍しくエリシュカが厳しい声を出すと、ヴィクトルは目をそらし、言いづらそうに口をひらいた。
「大事なものを落としたんだ。それで探してる。……昼間、君と出かけた時だと思うんだが、なにか覚えていないか?」
帰って来てすぐ、早退すると言って出ていったのは、落としものを捜すためだったのか。
最初からそう言ってくれれば、一緒に探しに来たのに、とエリシュカはやや膨れる。
「そもそも落としたものは何なのですか?」
ヴィクトルは半身を起こし、指で二センチくらいの大きさを示す。
「これくらいの大きさの魔石なんだ。色は灰色だが、一部銀色に光る」
灰色の魔石は魔力の抜けた状態の魔石だ。一部銀色になるということは、何らかの魔力が残ってはいるのだろうが、それほど価値は高くない。だが、彼にとっては大事なものなのだろう。店を出ていってからずっと探しているのだとすれば、もう二時間くらいは経っている。
「私も探します」
「は? いいよ。帰れよ。危ないぞ」
「通った道なら私だって覚えてますし、私の方が小さいから、低い場所に目が届きます!」
「……エリシュカ」
困ったように頭を掻いた瞬間、ヴィクトルの腹の虫が、ぐぐぅと大きく鳴った。
「……あははっ、ヴィクトルさん、夕食取ってないんでしょう。私いいもの持ってますよ」
エリシュカは、ヴィクトルを通りの端まで引っ張ってきて、リアンにあげるつもりだった串焼きを渡した。
「なんでもない」
「なんでもないわけ無いでしょう! 今どんな顔をしているか分かっているんですか?」
珍しくエリシュカが厳しい声を出すと、ヴィクトルは目をそらし、言いづらそうに口をひらいた。
「大事なものを落としたんだ。それで探してる。……昼間、君と出かけた時だと思うんだが、なにか覚えていないか?」
帰って来てすぐ、早退すると言って出ていったのは、落としものを捜すためだったのか。
最初からそう言ってくれれば、一緒に探しに来たのに、とエリシュカはやや膨れる。
「そもそも落としたものは何なのですか?」
ヴィクトルは半身を起こし、指で二センチくらいの大きさを示す。
「これくらいの大きさの魔石なんだ。色は灰色だが、一部銀色に光る」
灰色の魔石は魔力の抜けた状態の魔石だ。一部銀色になるということは、何らかの魔力が残ってはいるのだろうが、それほど価値は高くない。だが、彼にとっては大事なものなのだろう。店を出ていってからずっと探しているのだとすれば、もう二時間くらいは経っている。
「私も探します」
「は? いいよ。帰れよ。危ないぞ」
「通った道なら私だって覚えてますし、私の方が小さいから、低い場所に目が届きます!」
「……エリシュカ」
困ったように頭を掻いた瞬間、ヴィクトルの腹の虫が、ぐぐぅと大きく鳴った。
「……あははっ、ヴィクトルさん、夕食取ってないんでしょう。私いいもの持ってますよ」
エリシュカは、ヴィクトルを通りの端まで引っ張ってきて、リアンにあげるつもりだった串焼きを渡した。



