没落人生から脱出します!

「……でもさ。私は、そんなあなたにだから、助けられたんだと思う。ありがとうね、エリク」
「リーディエさん」
「ずっとうまくお礼言えなかったけど。本心よ」

 差し出された手を握る。握手が、本物の熱を持って伝わる。

「ほんとですか? 私、役に立ちましたか」
「ええ。あなたとは友達になれるって思っているわ」
「うれしいです!」

 エリシュカは感極まって頬を染めた。途端に周囲からヒューヒューと冷やかしの声が上がる。
 慌てて手を離し、今自分が男装していることを思い出した。

「す、すみません、リーディエさんっ」
「いいわよ、別に。それよりさぁ……」

 顔の熱を引かせようと、飲み物を口に含んだ瞬間に、リーディエが爆弾発言をした。

「エリクって店長のことどう思っているの?」

 ぶはっつと盛大に噴き出した。リーディエは予測していたのか、腕で顔をガードしている。

「汚いわね! すみません。おしぼりください」

 すぐに店員が固く絞ったおしぼりを持ってきてくれる。
 傍から見ると、年上の女性にやり込められている少年に見えるのか、「しっかりしろよ、兄ちゃん」などど、冷やかしの声も飛び交っていた。