没落人生から脱出します!

「そうなんですか?」
「事情があってね。私から話すことではないから、言わないけれど。態度がどこかそっけなく感じるのなら、それはきっとあなたを貴族だと認識しているのかもね」
「そんなに、気になることですか? 貴族か貴族でないかということは」

 もどかしい気持ちで聞けば、リーディエは苦笑した。

「きついことを言うようだけど。そういう差別的なことは、されているほうじゃないと分からないんだと思うわ。私たちが当たり前に我慢させられていること、エリシュカは知らないでしょう?」

 何を問われているかもよくわからず、エリシュカは答えを返せない。

「例えば、エリシュカは私に、自分の気持ちを言っていいと言ってくれたけど、本来許されてないのよ。貴族に逆らうとか、その場で首を切られることだってあるんだから」
「……そんな」
「あなたがそういう貴族じゃないことは、私ももう分かった。だから今も、遠慮なく言わせてもらっているけど、本来の常識から考えれば全然違うわ。あなたもそこは認識しておいた方がいいわよ。どちらの生き方を選ぶにしても、不都合があると思うわ」

 忠告めいたセリフに、思い出すのはキンスキー邸での暮らしだ。たしかに、ひとり異端だったエリシュカに、父も母も冷たかった。

「……もう遅いです。だから私、自分の屋敷では居場所がなかったんですもん」
「結婚を強要されて逃げてくるあたりも貴族令嬢とは言えないわよね」

 リーディエが容赦なく攻めてくるが、本当のことなので嫌な気分にはならない。むしろ、ここまではっきり言ってもらえると、小気味が良かった。