没落人生から脱出します!

業を終えたリーディエとエリシュカは、ともに街へと繰り出した。
 一応エリシュカはエリクの装いのままだ。エリシュカの方が背は低いが、年頃の男女には見えるだろうから、デートと思われるかもしれない。そう言ってみたら、「せいぜい姉弟よ」と笑われた。最近はリーディエがこうして屈託なく笑ってくれて、うれしい。

「リーディエさんは最初、私のこと嫌いでしたよね」
「嫌いっていくか。私、貴族全般が嫌いなのよ。ましてあなたなんて、叔父様を頼ってくるなんて甘ちゃん具合だもの。好きなほうがおかしいじゃない」

 いっそスッキリするほどはっきりしている。裏表がないのは、リーディエのいいところだ。

「そうですよね。自分でもそう思います。……だから、ヴィクトルさんもそうなのかなぁ」
「ヴィクトルさんはあなたに愛想いいじゃない」
「なんか、距離置かれている感じがするんですよね。愛想笑いされているというか」

 笑顔で線引きされているようだ。リーディエに向けるような屈託のない表情とは明らかに違う。

「まあ、それを求めるのも図々しい話ではあるんですけどね。私なんて、突然来た居候ですし」

 でも、エリシュカはこの店が好きだ。みんなとも仲良くなりたい。家族みたいに。
 思い出すのは、夢の中で見る〝ニホン〟だ。夢の中のエリシュカ──絵里香は家族の誰とも仲が良かったし、雑然と商品が並べられている百円ショップでも、店員みんな仲良しだった。ここがそんなお店であればいいというのは、エリシュカの勝手な郷愁なのだろうか。

「……ヴィクトルさんも、貴族は嫌いだと思うわ」

 リーディエはため息をついたエリシュカを慰めるように言う。