───入学式。
吹奏楽部が演奏するマーチに合わせて、新入生が入場してくる。
わたしたちはほかの先生方と一緒に、体育館の横に沿ってパイプ椅子に座りながら拍手で迎える。
胸元にピンク色のお花をつけた新入生は、まだまだ真新しい綺麗な制服に身を包んでいて、キラキラしているように見える。
新入生が全員入り着席すると、いつもは広いはずの体育館も少し狭く感じた。
教頭先生の司会で始まった入学式。
順調に進んでいき、ついにわたしの出番がやってきた。
「在校生代表。生徒会長の綾瀬 初花さん。お願いします」
「はい」
高校2年生の後期から生徒会長をやっているわたしは、こうしてステージの上に立って話すのはもう数回目。
最初は緊張したけれど少しずつ慣れてきて、話を聞いてくれている生徒の顔も見られるようになってきた。
わたしがステージに上がると、ザワつく体育館の中。
こんな現象にも慣れて、気にせず胸ポケットから紙を取り出し、読み上げていく。



