子犬系男子の甘い溺愛が止まらない




「じゃあ、また明日ね」



今日は朝、雨が降っていたから、自転車ではなく歩いて来た。


だから帰りも歩き。


なんだか憂鬱な気分になりながらも、電車通学の藤ヶ谷くんに背を向ける。



「ちょっと待って」


「……へっ」



ついさっき藤ヶ谷くんと校門前で別れたはずなのに、腕を掴まれて引き止められる。


突然のことに、びっくりして体が動かない。



「どうしたの……?」



やっと落ち着いて、同じく固まったままの藤ヶ谷くんに問いかけた。



「あぁ、ごめん」



わたしが声をかけたことでハッと気がついたらしい藤ヶ谷くんは、謝ってわたしの腕を掴む手を離した。



「もう暗いし、家まで送るよ」


「えぇ、そんな悪いよ……!」



藤ヶ谷くんの家は正反対。


ましてや、電車に乗って帰らないと行けないくらい家が遠いはずなのに送ってもらうなんて申し訳ない。