「ずるいなぁ、副会長は」
「え、ずるい……?」
藤ヶ谷くんの背中が遠くなった頃、その後ろ姿を見て、天馬くんはそう呟いた。
天馬くんの表情は、どこか悲しそうだった。
「僕も綾瀬会長と同じ学年だったら良かったのになって。 そしたら、同じクラスになってもっと一緒に居れる時間もあったのにな」
確かに、大人になってからの歳の差はあまり感じないって言うけれど、学生の2歳差は大きく感じる。
先輩と後輩って、しっかり線引きされている感じ。
「同い年だったら、もっと綾瀬会長に近づけてました?」
「……どう、かな? でも、こうして天馬くんに出会えたのはよかったと思ってるよ?」
もし同い年だったら……そう考えてもどうだったのかなんてわからなくて、返事に困ってしまったけれど。
そう思ったのは本当のこと。
でも、天馬くんは複雑そうな表情を浮かべていた。



