「綾瀬かーいちょっ!」
「……っ、わぁっ!?」
「ふふっ、驚いた顔も超可愛いです」
最近お決まりで、後ろから驚かしてくる天馬くん。
それも、すごく近くて一歩間違えたら、顔が触れてしまいそうなくらい。
「からかうのはやめて、天馬くん」
「知りません? 好きな人にはいじめたくなっちゃう男の子の心理」
それ、自分で言っちゃうの?
「わからない、けど……」
わたしは男の子じゃないからわからないし、好きな人もいないから、さらにわからない。
「じゃあ僕が綾瀬会長に教えてあげ───」
「おい、天馬! またサボって何やってんだよ」
「あーぁ、せっかくいいところだったのに。 それにサボってなんかいませんよ? ほら、セッティングする資料を持ってきたところですから」
天馬くんが近づいてきた時に必ず現れて、困っているわたしを助けてくれる藤ヶ谷くん。
それも毎回不機嫌そうに。



