「あー、もうその笑顔は反則ですって」
そんな天馬くんの小さな呟きは、わたしの耳には届かなくって。
気づけば、天馬くんはわたしの隣にいた。
「ねぇ、綾瀬会長」
「……な、なにっ!?」
「可愛すぎますよ」
「て、天馬くん? ちょっと1回……」
心臓がバクバクとして、どうしたらいいかわからなくて。
1度離れてほしいとお願いしても、後ろからわたしに腕を回す天馬くんは離してはくれない。
「やっぱり僕の彼女になってくれませんか?」
耳元で囁かれた言葉は、わたしをさらにドキドキさせる。
耳にあたる天馬くんの吐息がくすぐったい。
こんな気持ち、初めてだよ。
「えっと、それは……」
「なぁ、何やってんの、お前」
「……ふ、藤ヶ谷くん」



