「えっと、天馬くんはとりあえずここに座って?」
先輩たちが抜けてから空いていた席に天馬くんを案内する。
それなのに、天馬くんは生徒会室の入口に立ったまま動こうとしない。
「……天馬くん?」
さっきまでの勢いは一体どこへ?
体調を心配したくなるくらいの変わりように、わたしも困ってしまう。
「はぁーっ、突然名前を呼ぶなんて反則ですよ」
そうかと思えば頭を抱え始めた天馬くん。
名前って……普通は声をかける時、みんな名前で呼ぶよね?
別にわたしは特別何もしていない。
「僕も生徒会長のこと綾瀬会長って呼んでもいいですか?」
「うん? いいよ?」
名前で呼ばれることに嫌な気は全くしない。



