どんどん近づいてくる天馬くんは、止まることを知らない。
「……ちょっ!」
「生徒会長が来るの、ずっと待ってたんですよ?」
勢いよく飛びついてきて、ギューッと抱きしめられる。
天馬くんに抱きつかれたのは、これで2回目だ。
「う、うん、ありがと……」
これが弟や妹であれば、よしよしと抱きしめ返すのだけれど、状況が違う。
「あの……そろそろ離れてくれると」
「あっ、ごめん……生徒会長に今日も会えたのが嬉しくて」
抱きついてきたのは、無意識だったのか。
わからないけど、ハッと気がついた様子の天馬くんは、わたしが指摘してからやっと解放してくれた。
子どものように素直にこぼれた言葉に、ドキッとする。
その無邪気な笑顔が心臓に悪い。



