子犬系男子の甘い溺愛が止まらない




「あ、そうだ、初花先輩!」


「何?」



ふと思い出したように話し始める央翔くん。



「僕、先輩と同じ大学受験することに決めましたから!待っててくださいね?僕が行くまで、他に好きな人とか作ったら怒りますからね?」


「央翔くんが、同じ大学に?」



素直に嬉しかった。


また央翔くんと同じ学校に通えるかもしれないことが。


だって、高校と大学とじゃなかなか時間も合わないだろうし、毎日会うことは難しいから。



「綾瀬の大学、かなりの難関校だけどお前学力あんの?」


「僕のこと見下しすぎです、藤ヶ谷先輩」


「実は天馬くん、学年1位の成績なんですよ?」



そんなわたしも知らなかった事実を教えてくれたのは穂乃実ちゃん。


央翔くんって、そんなに頭良かったの!?



「なので心配いりませんよー」


「……ちっ」



卒業だっていうのに、相変わらず央翔くんと藤ヶ谷くんの関係は変わらない。


本当に高校3年間、楽しかった。


ありがとう。


桜の花びらがふわりと舞う中、ちょっと古びた校舎を後にした。