進路の相談にもたくさん乗ってもらった担任の先生にもお礼を伝えて、名残惜しいけれど教室を出た。


生徒玄関を出ると、そこにはたくさんの在校生が待ち構えている。


それぞれ部活ごとに集まっていて、最後のお別れをしていた。



「なんかいいなぁ……わたしも部活入っておけばよかった」



周りの様子を見て、仁奈ちゃんが呟く。



「仁奈ちゃんはアルバイト頑張ってたもんね。これからバイト先に挨拶しに行くんだっけ?」


「うん、来週末には引っ越ししなきゃいけないからそうするつもり」



3年間仁奈ちゃんが頑張ってきたアルバイト。


わたしが生徒会が大切だったように、仁奈ちゃんにとってはアルバイトも大切で、思い出がたくさんある場所だと思う。



「じゃあ、わたし行くね」



そう言いつつ、わたしの手をギュッと繋いで離さない。



「絶対絶対、また遊ぼうね!」


「それ約束だよ、初花!」



最後にもう一度抱き合って、仁奈ちゃんとお別れした。


引っ越してしまう前に、もう1回遊びに行けたらいいな。