「やぁーっ、寂しいーっ!!」



今後、もう着ることのないであろう制服に身を包み、胸元には"祝 卒業"と書かれたお花をつけて。


体育館で無事に卒業証書を受け取ったわたしたちは、教室で抱き合っていた。



「わたしも寂しすぎるよ」



高校3年間、ずっと仁奈ちゃんと一緒だった。


教室に来たら、毎日仁奈ちゃんがいて。


お弁当も必ず一緒に食べて。


仁奈ちゃんとは、楽しかった思い出がいっぱいありすぎる。


気づけば、目からは涙が溢れ出してとまらない。


拭っても拭っても、止まることを知らずに流れ落ちてくる。



「初花ああああっ」


「仁奈ちゃーんっ」



人目もはばからず、お互いの名前を呼び合いながら、これでもかと抱きしめる。



「お前ら泣きすぎ」


「藤ヶ谷は冷めすぎなんだよ!」



はぁっとわたしたちを見てため息をついた藤ヶ谷くんに、泣いているとは思えないほどバシッと鋭いツッコミを入れる仁奈ちゃん。


そんなやり取りを隣で見ていて、思わず笑ってしまった。