「そうですよね、ちゃんと言ってなかったですもんね」
そう言った央翔くんは、わたしの体をくるりと回転させて向かい合わせになる。
体の近さにドキドキするのに、央翔くんの瞳からは逃げられない。
「初花先輩」
「……はい」
「僕の彼女になって?」
初めて出会ったその日に言われた言葉。
あの日は突然すぎてびっくりして、戸惑ってしまったけれど。
今ならちゃんと答えられる。
「お願いしますっ、央翔くん」
「やっと僕のものになってくれた」
央翔くんはとても嬉しそうに、わたしをギューッと抱きしめる。
「初花先輩、大好きっ」
「……わ、わたしもっ」
「ちゃんと先輩の口からも聞きたいなぁ……"スキ"って」
「……なっ!」
付き合ってからも央翔くんの意地悪は、どうやらなおらないらしい。
「す……」
「す?」
「すき……」



