「だから初花先輩も央翔って呼んで？」
「お、央翔……って呼んでもいいの？」
前に呟いたときは、煽らないでと注意されたのに。
「うん、初花先輩にたくさん名前呼んでほしい」
ふふっと無邪気に笑う。
子犬のようなその笑顔は、いつもわたしをキュンとさせる。
その度に好きだなって。
この笑顔をずっと守りたいなって思うの。
「じゃあ、帰りましょうか。初花先輩の家まで送ります」
「でも……っ」
央翔くんの家は、わたしとは正反対。
わざわざ来てもらうのが、なんだか悪くて。
「でもじゃないですよ！初花先輩は僕の彼女なんですからこれくらいはさせてくださいっ」
「かの、じょ……？」
「あぁっ……」
わたしが戸惑う姿を見て、央翔くんは申し訳なさそうな顔をした。
